総長っていったい何をしているのか、疑問に思っている皆さんも大勢いるかと思います。ここでは、私が日々取り組んでいる仕事やその中で感じたことなどを、自由闊達に紹介していこうと思っています。
10月31日②
上海交通大学学長らと別れた後も、いくつか会議をこなし、15時過ぎにはオープニングセレモニーに出席のためSTATION Aiに移動です。
セレモニー開始の40分ほど前に会場に着くと、すでに行列ができていました。外国人や財界の人の顔もちらほら見えます。受付を済まして会場に入るとすでに多くの人で溢れかえっていました。一階一番奥のステージでセレモニーですが、人はどんどんと増えていって立錐の余地のない状況でいよいよオープニングがスタート、最初はダンスと光?音の派手な演出です。やがて大村知事や佐橋STATION Ai社長、親会社のソフトバンク宮川CEOなど関係者がステージに登場、お祝いの言葉がありました。海外からもフランスのSTATION Fや、大学関係者が登壇、シンガポール国立大学や上海交通大学の学長もハッピを着て並んでいました。
オープンニングセレモニーのあとは、会場ごとにピッチなどがあったのですが、私は一階の入り口近くのスペースでネットワーキングに勤しんでいました。とにかくここのところ名刺がすごい勢いでなくなります。大村知事にもお祝いを申し上げる機会があったのですが、「名古屋大学も次はステージに上がれるようにがんばります」といっておきました。海外の大学だけでなく、名大をはじめ地域の大学もお忘れなく!
STATION Aiついに正式に始動です。ここからが勝負、我々がどれだけ使い倒せるかが成功の鍵だと思っています。教員の皆さん、学生の皆さん、舞台は整いました。スタートアップ、どんどん挑戦してください!
10月31日①
10月最後の日になりました。今日はハロウィーンで大騒ぎする街もあるようですが、こちら海外出張の後は溜まっていた仕事が全部押し寄せるので息つく暇もありません。
本日午前中には、上海交通大学のディン?クイリン(丁奎岭)学長、イン?ハイタオ(尹海涛)国際部部長、ズー?イーファン(朱一凡)国際部副部長らの皆さんと懇談し、協定の調印をいたしました。なお、ディン学長やズー副部長とは、以前香港でお会いしたことがあります。
中国トップクラスの大学である上海交通大学は、本学と古くから交流があり、2001年には全学間学術交流協定を結んでいます。本学の上海事務所(中国交流センター)は、上海交通大学の一番古いキャンパスのすぐそばに設置しており、また本学の平野眞一元総長は、上海交通大学の学長特別顧問や研究所長などを歴任されています。学生交流なども活発で、例えば今夏の上海交通大学のエリート?サマー?プログラムには本学の学生3名が参加、充実したプログラムを満喫したとのことです。
また、元来化学の研究者であるディン学長は、2003年に客員教授として本学に4ヶ月ほど滞在、その際に野依先生とも緊密に研究交流をされたそうです。
この間、先方からの強い希望もあり、これまでの交流を一段加速させるために、両大学間の協力と協議を促進するために、戦略的パートナーシップ協議委員会を設立する、ということでの調印をさせていただきました。
豊田講堂3階での懇談、調印式の後には、場所を野依記念物質科学研究館に移し、野依先生も交えての昼食会を持ちました。ディン学長と野依先生、並んで座られ、お話しが尽きないご様子でした。
今回、ディン学長は、愛知県がこの度開設したSTATION Aiのオープニングに参加するためもあって名古屋に来られました。昼食会の後は、学内をしばらく視察した後、STATION Aiの方に向かわれるとのことでした。
10月29日③
大使館からバンに乗って向かったのがマリナベイサンズ、SWITCHの会場です。ランチを挟んでSWITCHの視察と、同時に同じ会場の4階で開催しているテック?イノベーションにも参加してきました。テック?イノベーションの方は、少し小ぶりの展示会で、すでに資金調達をして動き始めているスタートアップというよりは、大学にあるシーズやアーリーステージのスタートアップが対象です。
こちらには名大もブースを出していて、名大そのものの紹介と3つの名大の研究シーズを紹介しています。そのうちの一つ、排水処理?環境浄化の研究については、その成果でバイオベンチャーを経営されている堀克敏工学研究科教授にブースでご説明をいただいています。前日には会場の真ん中に設置された舞台でピッチされたこともあり、かなり人気で多くの人がブースを訪れていました。
夕方には、このテック?イノベーションを運営しているIPIという機関のアルビン?ホーCTO(最高技術責任者)ら幹部の方々と別室で面談させていただきました。IPIはシンガポール経済産業省の傘下の機関になります。ホーCTO、バリバリのやり手という印象です。シンガポールは本当に実力のある人が活躍しています。彼から説明を伺ってようやくIPIが何をやっている所なのかわかりました。海外の研究機関や企業から知財や研究シーズの提供を受け、それに興味あるシンガポールの中小企業が手をあげて連携してシンガポールでビジネスをする、そのための取りもちをし、また連携の手助けをする、という活動です。日本のさる大手企業も数年前からIPIにシンガポールでのビジネス展開をお手伝いいただいているそうです。具体的には、古くなったり使い道のよくわからない知財が活用できないかIPIに依頼し、中小企業などとのマッチングを図ってもらっているようで、すでに何件かの成功例があるとのことでした。
テック?イノベーションが終わった後、IPI主催の懇親会に招待されたので、同じフロアの別会場に移動して、ネットワーキングをして来ました。そのあとはホテルに帰り、荷物をピックアップ、空港に向かい、深夜便で帰国です。
フライトは30分ほど遅れましたが、それ以外はスムースで、朝9時頃には無事に中部国際空港に到着です。そこからダイレクトに大学に向い、10時過ぎには到着しました。空港が近いのはありがたいです。おかげで午後イチの審査に無事間に合いました。
10月29日②
バンで20分ほどで到着した日本大使館は、閑静な住宅街の中にありました。ここに建てられた当時は、大使館の人たちは皆自家用車で通っていたので、交通の便を気にしなくてもよかった、ということですが、今となってはバス停まで少し歩かなくてはいけません。現在のシンガポールでは、自家用車を持つことだけのために1千2百万円ほどもかかり、それに加えて車本体の値段がかかるとのこと、信じられないコストです。
さて、大使館では石川大使にお目にかかり、名古屋大学のシンガポールでの取り組み、さらにはアジア諸国の国家中枢人材を育成するアジアサテライトキャンパス学院などについてご説明差し上げました。シンガポールに今年度だけで70名以上の名大生が訪れていること、またシンガポールからも40名ほどが来ていることについては、少し驚かれていたご様子でした。当初設定されたのが30分という面談時間でしたが、結果的には話が弾んで45分ほどお相手をしていただきました。
10月29日①
長かった出張も本日で終わり、今日はA*STAR(エー?スター)という組織のアンディー?ホー副CEOと彼の下で働いている10人ほどの人たちとの面談です。
A* STARは4000人ほどの研究者を含む6000人の職員で構成されている、研究開発法人です。日本の産総研に近い組織と言えるかもしれません。9時からスタートした会議ですが、ホー副CEOが会議の初っ端から、「本日の会議は10時きっちりまでに終わらせる」と宣言され、一刻の時間も無駄にしないという空気に緊張感が走りました。テキパキと効率よく、A* STARがやっていることの説明があり、可能な連携について話すことができました。名大として連携できそうな分野は、窒化ガリウムを含む材料科学、ロボット工学、農学?食糧、モビリティです。また、短期?中期で学生を受け入れるプログラムもあるとのこと、いろいろな可能性を今後探っていきたいと考えています。
最後には打ち解けて、野依先生を訪ねた思い出を語っていたホー副CEOにお礼を言って、A* STARを後にして、日本大使館に向かいました。
10月28日③
NUSカレッジ訪問後はSWITCH会場に戻り、このイベントのエクゼクティブディレクター、ソフィア?ウン(Sophia Ng)さんにお目にかかりました。
会場をしばらく見学したのちには、バンで移動、関西スタートアップアカデミア?コアリション、通称KSACが主催するスタートアップのイベントに参加です。こちら、主幹大学の京都大学を中心に、大阪大学や関西大学、立命館大学など関西地区の22大学が参加、さらに産業界?金融界?自治体らが参画することで、スタートアップ?エコシステムを地域に構築することを目的としています。昨晩行われたセントラルジャパン?イノベーションナイトによく似たイベントで、スタートアップのピッチを中心に進行されました。なお、このコアリションがサポートするスタートアップはまだシードの段階かその前の段階であることが条件となっています。そのため、すぐに製品を売り出す、というよりは、「皆さん一緒にやりましょう」というようなプレゼンが多かった印象です。
20時半にはイベントが終了、ライドシェアのグラブ(Grab)を呼んでホテルまで帰ったらまだ21時前でした。この時間が早いと思うのは何かが麻痺してきているのかもしれません。自由闊達通信を書いて、明日の予定を確認してベッドに倒れ込みました。
10月28日②
次の目的地は、シンガポール国立大学(NUS)になります。20分ほどバンに乗って、昼前にNUS同窓生会館に到着です。こちらのレストランで2時間ほどのランチミーティング、お相手はタン(Tan Eng Chye)学長を筆頭に、チェン(Chen Tsuhan)副学長、チー(Chee Yeow Meng)副学長、ティー(Benjamin Tee Chee Keong)准副学長ら、皆さん昨年9月に名古屋大学を訪問いただいたメンバーです。彼らに加えて、ミトラ(Tulika Mitra)副プロボスト、キム(Lum Sau Kim)准副学長にもご参加いただきました。名古屋サイドですが、私以外に松尾機構長、武田副総長、水谷副総長、木村副総長、小橋工学研究科長、堀克敏工学研究科教授、今泉所長に加えて事務職員と大所帯でした。
昼食での話題、今週末に行われるSTATION Aiからスタートです。タン学長らもご出席されますが、なんと我々の帰りと同じ飛行機で名古屋に来ることがわかりました。
その後は、今後名古屋大学とNUSが学生交流や知財、ベンチャー?キャピタルなどでどのように連携できるか、ざっくばらんにお話しさせていただきました。
昼食の後は、NUSの中にあるNUSカレッジという組織にお邪魔しました。学部学生向けに、一般教育の部分を少人数で海外研修なども含めて提供している学寮になります。全寮制ということで、教室の周りには高層の寮が並んでいます。
カレッジは学部教育の1/3を担当するとのこと、残りの2/3は各々専門教育をそれぞれの学部で受けることになります。サイモン?チェスターマン学部長は、他の学生に比べ授業数が多いわけではないが、密度が濃いとおっしゃっていました。
チェスターマン学部長によるカレッジの説明の後、今年の5月から6月にかけてNUSカレッジが主催して実施したグローバル体験コース(GEx)東京プログラムに参加した学生二人が成果報告をしてくれました。ちなみに東京プログラムといっても、半分の期間は愛知での研修です。さて、二人の発表ですが、一人はすごく達者な4枚の絵で日本の将来の姿を描き出し、もう一人は日本のお守りにヒントを得たラッキー?チャームビジネスの提案を行いました。二人とも、愛知と東京での体験がすごく生きていると感じさせられる素晴らしい発表でした。
来年は、愛知の部分をさらに拡大して、プログラム名に名古屋を追加するそうです。本学の学生との交流もあり、受け入れる価値の高いプログラムと感じました。
10月28日①
本日は、朝からスタートアップの祭典SWITCH 2024に出席です。こちら、有名なマリナベイサンズホテルに併設されているコンベンショホールでの開催、3日間に渡って2万人が参加する大規模なイベントです。
9時にホテルを出発、会場には9時20分には到着です。9時半からの開場なのですが、すでに長蛇の列ができていました。なんとか会場に潜り込むと、入り口の近くには日本のブースが並んでいました。愛知県?名古屋市の他に、JETRO、福岡市、北九州市、川崎市?横浜市、仙台市、東京都などが出店、それぞれの地域のスタートアップ企業がブースを出している中で、北海道大学が日本の大学としては唯一ブースを出していたのが目を引きます。
会場中央に設置された舞台では、シンガポールのヘン?スイキャット副首相のオープニングスピーチ。実力者だけあって多くの聴衆を惹きつけていました。副首相、講演の後には会場を廻られたのですが、我々のところにも寄ってくださり、ご挨拶する時間を持つことができたのはよかったです。段取りをしていただいた今泉所長、ありがとうございます。副首相ですが、STATION Aiのことをよくご存知で、本学がSTATION Ai、そしてシンガポール国立大学と強力に連携していることをお伝えしました。
10月27日③
本日最後のイベントは、セントラルジャパン?イノベーションナイトです。浜松を含む中部地域のスタートアップ企業、それをサポートする金融機関や地方自治体などが一堂に会し、シンガポールでその存在感を示すために、明日からのSWITCH(スイッチ)というイベントに出席、その前哨戦としての催しになります。80名以上が参加したこの催しですが、最も面白かったのは5つのスタートアップ企業のピッチです。その中でも、人間の感情をカメラで読み取る、というスタートアップに興味を惹きつけられました。どう読み取るかはノウハウですから、ここでは伏せさせていただきます。これによって、学校でのいじめの発見や、メンタルが落ちていた従業員が復帰した時の見守りに使うなど、応用がすごく広いようです。
ピッチの後は、軽食を提供してのネットワーキングの時間、当初の予定を超えて皆さん熱心にお話をされていました。ようやく21時には終了、ホテルへ帰りました。長い1日でした。
10月27日②
お昼は慌ただしくランチボックスで済ませ、午後からは全学同窓会シンガポール支部設立に向けての決起集会です。シンガポールの現地法人に出向している同窓生を中心に、G30などを修了したシンガポール人の同窓生、さらには現在名古屋大学から留学中の学生まで、さまざまなバックグラウンドを持つみなさん、40名ほどにお集まりいただきました。私からの挨拶、木村副総長(全学同窓会代表幹事)からの全学同窓会紹介の後は、全員の自己紹介、これまでの経緯説明があり、場が温まってきたところでネットワーキングの懇談となりました。知り合い同士も多く、久々にあう方々を中心に旧交を温め、また新しいネットワーキングをしていました。私が教授をしていた研究室のすぐ隣の研究室の卒業生も数名いたのは少し驚きました。来年には、同窓会支部が結成されることを楽しみにしています。
10月27日①
昨日、タイから移動してシンガポールに到着しました。疲れたので夕食はスキップです。部屋にウエルカムのフルーツが置いてあったので、それで十分でした。
さて、シンガポール実質的初日の今日は、BLOCK71という施設での1日になりました。
ホテルからマイクロバスで移動、到着したところはちょっと殺風景なビル街、倉庫として使われている建物群だそうです。その中の一つ、BLOCK71、つまり71番目の建物にシンガポール国立大学(NUS)の子会社、NUSエンタープライズが入居してスタートアップの拠点としているのがNUS BLOCK71というわけです。
まずは、本学シンガポール事務所の今泉所長の案内で、彼が使っているスペースがある部屋へ案内してもらいました。少し古ぼけた建物なのですが、オフィスへのアクセスは最新の顔認証、オフィスはスタートアップ企業のために机ごとに借りるシステムとなっていて、それ以外に会議室?教室として使えるスペースもあります。今のところ本学は机一つです。今日は日曜日なので、我々以外誰もいませんでした。
今回は丸一日、会議室を使用してのイベントです。
まず午前中、トップバッターは、日本の理化学研究所シンガポール事務所長による理研のシンガポールにおける活動紹介です。2006年に事務所を開設したそうで、現在はシンガポールやASEAN諸国の研究機関?大学との協力支援、ネットワーク構築などを中心に活動されているとのことでした。
次にお話しいただいたのは、アジア?ベンチャー?パートナーという会社の方です。この方は、もともと政府機関で働いていて、シンガポールに世界中から大学を誘致する活動に関わってこられました。当初は、個別に分校を開設する形で、その後はシンガポールの大学と連携する形式での誘致を手掛けられたとのこと、前者の大学の多くは撤退してしまったと言っていました。最近は日本を含むスタートアップ企業をシンガポールに誘致する活動をされています。しかし、米欧との比較で、企業によっては競争に勝つのは難しいのでは、という厳しい見立ても赤裸々に話されていました。
最後にお話しいただいのは、私立大学を経営している日本人の方です。シンガポールでは私立大学は、自前で大学卒業学位を出せないとのこと、イギリスの大学などと連携をして、そちらの大学が認定してくれる学部プログラムを教え、その大学の学位を出す、というような運営をされています。例えば最初の2年はシンガポールで、後半の2年をイギリスで学ぶ、というのもアリだそうです。ただお話を聞いていて、日本の大学が学部教育をこの学校に委託して卒業証書を出す、というのが今ひとつピンときませんでした。
10月25日③
取材の後は、宿泊しているホテルの会場で、バンコク事務所開設10周年記念のパーティに出席です。
パーティにはチュラロンコン大学学長やカセサート大学副学長など、今回お会いした多くのVIPの方にご出席いただきました。また、日本大使館からは西岡達史公使、本学がMOUを結んでいるラジャマンガラ工科大学タンヤブリ校の学長、JASSOや国際交流基金の現地事務所の方、在タイ大学連絡会(JUNThai)関係者など本当に大勢の方に来ていただきました。金沢大学からは副学長がこのためにタイに来ていただき感激です。上智大学からはお花をいただきました。
さらに、全学同窓会タイ支部関係者もたくさんご出席くださいました。先日のホームカミングデイで国際交流貢献顕彰を受賞された際、お会いしたばかりのワチャワルク同窓会支部長にも再会できました。昨晩愛知会でお会いしたばかりの方も何名かいらっしゃっていました。結果、出席者総勢約100名という盛大なパーティになりました。
私の挨拶で会はスタート、続いてチュラロンコン大学学長とラジャマンガラ工科大学タンヤブリー校学長から花束を贈呈いただいたのは嬉しいサプライズでした。写真撮影に続いて、乾杯の挨拶は西岡公使にお願いしました。内容、英語とも流石のご挨拶でした。
料理はビュッフェですが、美味しいタイ料理がずらっと並び、みなさん堪能していました。
会の途中には、水谷副総長からスライドを使っての本学のタイでの活動紹介、木村副総長からは同窓会関係の紹介をいただきました。
中締めをした後も、久しぶりに会った同窓生たち、三々五々いつまでも思い出話に花を咲かせていました。
来年は全学同窓会タイ支部20周年、こちらも盛大にお祝いすることになりそうです。
今回中心になって準備いただいたタイ事務所のウィラヤーさん、ナッターさん、本当にありがとうございます。
これでタイでのお仕事は全て終了、明日はシンガポールへ移動です。
10月25日②
昼過ぎにカセサート大学を出て、再び街中のチュラロンコン大学へ行き、スマートモビリティ研究センターを訪問しました。名古屋大学のGREMOチームが来ていて、これまでの共同研究の成果についての報告会を行っていました。GREMOは本学の未来社会創造機構の中に設置されているモビリティ社会研究所の略称で、2011年に設立され、センターオブイノベーション(COI)プログラムの採択など、これまで大きく発展してきました。今回GREMOチームからは、副所長の河口信夫教授はじめ、愛知会で話された青木特任教授、森川高行特任教授、さらには山本俊行教授、金森亮特任教授など大所帯でのチュラロンコン訪問になりました。
ここでのご挨拶は小橋工学研究科長にお任せしたので、私としては気が楽でした。会場の外には、バスやカートなど自動運転の実験車が3台並べられていて、見学もさせてもらいました。今後はキャンパス内で実際に自動運転走行の実証実験をしていくとのことでした。
このあとは一旦事務所に寄ってからホテルに帰り、1時間ほど休憩をした後に、中日新聞の派遣員の取材を受けました。内容は、名古屋大学とタイとの連携、学生の交流などが中心でした。
10月25日①
本日、朝から昼過ぎまで、カセサート大学訪問です。
バンコク中心街からは少し離れているのですが、高速を使ってすぐの場所でした。こちらのキャンパス、郊外だけあってかチュラロンコンよりは全体的にゆったりとしていて、南国の香りがします。
今回、学長は中国に出張中とのこと、研究担当のアピシット?ソンサーセン(Apisit Songsasen)副学長と健康科学担当のソムワング?カンタヤヌオン(Somwang Khantayanuwong)副学長のお二人を中心に学部長や学長補佐、学部長の方々総勢15名ほどの方に対応いただきました。とはいえ、こちらも水谷、木村両副総長に加え、大蔵副研究科長ら生命農学研究科のグループ、小橋研究科長ら工学研究科のグループ、医学系研究科からは高橋教授、さらに国際開発研究科から島田研究科長と、総勢9名の大所帯です。
通された部屋、非常に立派な会議室で少しびっくりしました。会議は2時間に渡り、お互いのこれまでの交流実績を中心に、これから何を目指すのかについて話しました。カセサート、元来は農学大学としてスタートしたこともあり、これまでは農学が中心の連携でした。今は総合大学となっていて、本学の生命農学研究科が行っているジョイント?ディグリープログラムについても、今後は化学や物理の分野にも拡大していきたいという希望でした。もちろん本学の対応する部局がこの場合であれば、理学研究科ないし工学研究科になるので、簡単ではない、と申し上げました。また、カセサート大学、ごく最近念願の医学部?病院をオープンさせたとのこと、医学系研究科との連携も強く望まれていました。さらに人文系も、ということでこちらは国際開発研究科の島田研究科長が対応されていました。
ランチをご一緒しながら、さらにさまざまなお話しをしたのですが、カセサート大学、全部で4つのキャンパスと1つのラーニング?エリアがあり、特に4つのキャンパスはそれぞれが半分独立して部局を持っていて、農学や工学などは複数のキャンパスにあるそうです。学長は全部のエリアに責任を持つのですが、キャンパスがすごく離れていて大変なようでした。それぞれのキャンパスの責任者は副学長で、担当によって他のキャンパスも含めて面倒を見るとのこと、例えばソンサーセン副学長は今回訪れたバンケンキャンパスの責任者であるとともに、全体の研究振興の責任も持っているそうです。東海国立大学機構との差異が気になりました。
なお、ランチの席で、タイではほとんどの教員、副学長などが教授ではなくて准教授なのは何故か、という質問が名大側から出ました。答えは、教授は国王による任命になるので簡単になれない、ということでした。例えば、カンタヤヌオン副学長、すでに学内の審査では教授になることが認められているのですが、国王からの任命待ちだそうです。他の国のシステムとはずいぶん違います。
10月24日④
病院からホテルに帰って一息だけついて、5時30分には次の目的地に向かってバンで出発です。目的地は3kmほど離れたところで行われる愛知会で、名古屋大学の紹介を30分ほどすることになっています。
愛知会は、愛知県の企業に勤めている人の集まりです。タイの日本人コミュニティの中では、県人会のようなものは他にもあるのですが、勤めている企業の所在地で、というのは珍しいとのことでした。
さて会のスタートは6時30分、渋滞があることは聞いていたのですが、3kmの距離に1時間、十分と思って出発しました。ところが雨になると渋滞がひどくなる、という地元の人の言う通り、ものすごい渋滞に当たってしまいました。バンコクでは信号の間隔などは交差点ごとに交番があってそこが決めるとのこと、渋滞すると後続の車が突っ込まないようになかなか青にしてくれません。結局、全然動けなくなります。時間はどんどんと経ち、到着したのは7時を回った頃でした。3kmを1.5時間、つまり平均時速2km/時です。歩いた方がはるかに早い!我々の到着まで場繋ぎに、自動運転の関係で来られている未来社会創造機構の森川特任教授が急遽お話をしてくださったのには感謝です。愛知会、代表の方も同様に渋滞に巻き込まれ、我々よりも後の到着だったのはご愛嬌でしょうか。
遅れて始まった私の講演は、名古屋大学の取り組み、中でも社会連携、国際を中心にお話ししました。その後は、未来社会創造機構の青木宏文特任教授が、ご自身が所属されているモビリティ社会研究所(GRIMO)の取り組み、特にチュラロンコン大学との連携を中心に明快にお話しされました。
講演の後にはネットワーキングを兼ねた立食での会食です。大企業から中小まで、本当にさまざまな企業の方が一堂に介していました。新顔の方は、クーラーに取り付けると効率が上がり電気代が節約できる、という装置を売っているそうで、実機を持ってきて宣伝していました。みなさんとお話しさせていただいたのですが、本学の卒業生も複数いらっしゃいましたが、南山大学の卒業生が目立っていました。
帰りも渋滞を心配したのですが、完全に解消されていて10分ほどでホテルに到着、渋滞は本当に迷惑です。
10月24日③
午後、2番目の訪問先が、チュラロンコン大学病院になります。その前、少し時間があったので政治学部にある名古屋大学のオフィスにお邪魔しました。小さな教室もついているそれなりの広さの部屋です。向かいはフランスの研究機関の部屋でした。今回の準備で散らかっていると事務職員は気にしていましたが、問題はありませんでした。
その後、病院に移動したのですが、こちらで本学医学系研究科の高橋義行教授が共同研究をされていて、その成果と現場を見せていただけるということでの訪問です。
白血病、悪性リンパ腫などのがんでは、遺伝子改変T細胞療法(CAR-T療法)という効果の高い治療法が開発されているのですが、非常に高額でアジア諸国には広まっていません。高橋先生は、コストを下げるための新たな製造法を開発して、実用化に向けて臨床研究を行っているのですが、その舞台になっているのがチュラロンコン大学病院です。日本では時間がかかる臨床研究がタイではスムーズに進められているというのも不思議です。今回は、長期にわたってがんを抑え込むという素晴らしい成果のデータを見せていただきました。高橋先生、そしてチュラロンコン大学病院のチームのみなさん、おめでとうございます。なお、この成果発表には、チャンチャイ?シティプーン(Chanchai Sittipunt)医学部長も立ち会ってくださいました。シティプーン医学部長にとっても初めて知る成果だったようです。チームの方々は、医学部長にみてもらえるのは大学学長が視察するおかげだ、と喜んでいました。
成果発表の後は、これからチームが移って研究の現場となる新しい建物を案内いただきました。まだ正式に完成はしていないのですが、装置などが搬入され始めていました。一部実験が始まっていましたが、実験室には持ち込めないのでコーヒーなどが廊下に置いてあるのをみて、シティプーン医学部長、苦笑いしていました。
ところでシティプーン医学部長が着ているジャケット、赤十字マークのエンブレムがついていたのですが、この大学病院、じつは赤十字病院として運営されていて、日本と並んでタイは赤十字が病院を持っている珍しい国なのだそうです。正式名称は、チュラポーン国王記念病院、病院長はシティプーン医学部長が兼ねていらっしゃいます。
ところで病院を見学している間に、雲行きが怪しくなり、ホテルに向かう頃には土砂降りでした。さすが熱帯です。よく夕方に土砂降りになるそうです。
10月24日②
今回のタイ訪問、相当にいろいろな訪問が詰め込まれています。その結果なんと今日の昼ご飯食べる時間がない、というのが事務方からの説明でした。「非人道的だ!」と不満を言いながら、パンでも齧るか、と覚悟していました。ところが次の訪問先のホストである理学部のプラーノット?ポティヤラー(Pranut Potiyaraj)理学部長が親切に気を利かせくれて、ランチを用意してくださいました。美味しいタイ料理を4皿とスープ、思いがけないもてなし、感激ですが、トムヤムクン、辛かった...ポティヤラー理学部長、専門は繊維で物質科学学科の所属、英国のマンチェスター大学で学位をとられたとのこと、日本でも研究をされていた期間があるそうです。
午後には、本学がチュラロンコン大学、上海交通大学、そして韓国海洋大学校と一緒にやっているキャンパスアジアというプログラムのシンポジウムが理学部であり、そこでオープニングの挨拶をさせていただきました。2021年から始まったプログラム、本学と海外3大学が提案したテーマが「アジア諸国における炭素ゼロナイゼーションのための人材育成」になります。過去3年間で4大学の間での学生交流数は601名を数えるとのこと、今回も本学から工学研究科の元気な学生が5名ほど参加していて3大学との交流を深めていました。なお、本学でこのプログラムを担当されているのが工学研究科の齋藤永宏教授になります。明日には、山本尚名古屋大学特別教授の講演もあるとのこと、学生たちに取っては得難い経験になります。
10月24日①
本日はタイ?バンコクでの実質的な初日、日本大使館、市内にある名門?チュラロンコン大学への訪問などの日程が入っています。
タイは日本との時差が二時間、タイの方が遅くなります。朝食を朝7時に設定したのですが、自然と朝5時に目が覚めました。
本日最初の訪問先は、日本大使館になります。大鷹正人大使には貴重な時間を割いていただき、当初30分の予定の面談だったのが、45分にもなりました。本学のこれまでのタイとの関わり、留学生の数などをお伝えした後に、タイの現状や将来について、例えば自動車産業のあり方、政治情勢など、さまざまな点について情報提供いただきました。ありがとうございます。
しかし、次の予定のチュラロンコン大学の学長?副学長との面談が10時ちょうどからに設定されていて、時間について少しヤキモキしました。ただ大学は大使館から公園を挟んですぐの距離、ということで本学事務所スタッフに至っては一度ホテルに寄る、とまで言い出したので流石にそれは止めて、一路大学へ。ところが距離は短いのですが、1箇所右折をするだけで(ちなみにタイは日本と同じ左側通行)10分かかり、結局到着は10時10分すぎ、大幅に遅れました。大失敗、と思いきや、なんとまだ先方の学長が到着しておらず、こちらとしては助かりました。結局20分遅れぐらいで到着され、会議がスタート「これがタイ時間なのか」と納得させられました。もっとも、副学長たちはすでに到着していたので、学長が遅れたのがむしろアクシデントだったのかもしれません。本日は、大学の評議会が開かれていて学長のインタビューがあるというので、簡単にお互いを紹介をした後、慌ただしく席を後にされました。
その後は、学内ツアーということで、バンコク市内一等地にあるとは思えない本当に広い敷地の中、車で移動して大学の博物館に到着、大学の歴史などについて教えていただきました。チュラロンコン大学は1917年、王様の命によって設立されたのですが、当時の最初の建物が残されています。寺院のような建造物なのですが、当時は大学の建物というものがどんな形か知らなかったので、そうなったという説明でした。学内に点在する古い建造物は文化財になっていて、改装するにも許可が必要で大変とのことです。ちなみに大学の周辺の土地も大学の所有で、そこに建設されたショッピングモールなどから賃料を取っているとのこと、木村財務担当理事がうらやましそうにしていました。
10月23日
本日からタイ王国、シンガポールの2カ国訪問がスタートします。今回は1週間ほどの日程となっていて比較的長く名古屋を離れます。
初日の今日は、午前中に中部国際空港を出て、いったんシンガポールへ、そこから乗り継いでバンコクに到着、少しだけ中部の出発が遅れたのですが、全般的にはスムーズな旅でした。
万が一乗り継ぎで遅れて荷物が積み込めないと、着替えがないので、スーツを着ていた私はOKですが、普段着だった木村副総長、水谷副総長は明日から困るところでした。お二人をさんざんからかっていていたら、バンコクで私の荷物だけがなかなか出てこなくてヒヤヒヤしました。バチが当たったみたいです。
明日からは、非常に厳しい日程です。今晩はトークの準備で遅くなりそうです。
10月19日
本日はホームカミングデイ本番でした。天気が心配されたのですが、案の定午後には雨模様になってしまいました。残念。
今年は、朝イチ8時30分集合、午後に豊田講堂で行われる「名古屋大学の集い」のリハーサルからスタートです。去年は学内を散歩するというイベントがあったのですが、今年は朝はリハのみ、だいぶ楽でした。
お昼を挟んで、全学同窓会評議員会?懇談会がありました。各部局の代表の評議員の方が集合され、また関東支部、関西支部、遠州会、岐阜支部の方々も参加され大人数での会合となりました。議長は伊藤義人全学同窓会副会長が務められ、1時間半ほどですが、交流を深めることができたと思います。なお、今回を以て18年間務められた評議員を退かれることとなった立川武蔵先生、長年のご貢献感謝いたします。ありがとうございました。
午後1時半から、いよいよメインイベントの「名古屋大学の集い」です。私と柴田全学同窓会長のご挨拶の後、国際交流貢献顕彰の表彰です。昨晩お会いしたばかりの3名の方、バトボルドさん、カシェムさん、ワチャワルクさんに賞状と記念の豊田講堂3Dレーザークリスタルをお渡ししました。
続いては、NU3MTの表彰とプレゼンです。今回の受賞者、工学研究科D3の沖田ひかりさんと生命農学研究科D3の前田明里さんに、まずは私から小さなトロフィーと副賞の目録を差し上げました。そのあと、お待ちかねのプレゼンです。今回は、当日に上映させていただいたものと同じ研究室からの応援ビデオを流し、その後に3分のプレゼンがスタート、お二人とも素晴らしい出来栄えでした。聴衆のみなさんも満足いただけたのではないでしょうか。大きな拍手でした。この表彰式の模様、またNU3MTの模様、今月中はオンラインで視聴できますので、是非ともご覧ください。
休憩の後は名フィルによるベートーベンの交響曲第九番全楽章の演奏です。指揮者は昨年に引き続いて松井慶太さん、ホームカミングデイ20周年記念に相応しい選曲だと思います。4楽章の歓喜の歌の合唱は、こちらも昨年に続いての登場となる混声合唱団名古屋大学コール?グランツェが担当、美しいハーモニーを響かせてくれました。なお、4名のソリストのうちテノールの本多信明さんは本学の卒業生です。素晴らしい声量でした。
20周年記念として、今回はさらに豊田講堂の前にキッチンカーを配置して、飲食ができるmeidai SAKEテラスという企画が行われました。こちら雨に祟られて本当に残念でした。それでも多くの人に集まってもらい、ピラミッド研究で有名な高等研究院の河江准教授のトークとピラミッドの投影に続いて、鏡開き?ふるまい酒、こちら私と指揮者の松井さん、さらに松尾機構長と木村副総長(同窓会幹事)が担当しました。その後、松井さんと30分ほど対談させてもらいました。大学とオーケストラ、多くの人を率いていくことの大変さなどについてもお話ししたのですが、概ね私が音楽について聞きたいことを思う存分聞く企画になりました。聴衆は楽しんだかどうかわかりませんが、私は大満足です。
ホームカミングデイ、毎回準備が大変だと思います。今年は特に20周年で大掛かりでした。準備に奔走いただいた事務の皆さん、ありがとうございます!
10月18日②
本日夕方には、名古屋大学在外卒業生との交流会がユニバーサルクラブでありました。
こちら、ホームカミングデイに合わせて、卒業生?修了生から選ぶ国際交流貢献顕彰の受賞者を囲む会になります。
今回の国際交流貢献顕彰は、モンゴル国立大学法学部長のアマルサナー?バトボルドさん、バングラデシュ科学産業研究評議会(BCSIR)の最高戦略責任者?所長のモハマド?アブル?カシェムさん、そしてタイ王国タマサート大学教授で全学同窓会タイ支部長のシリポン?ワチャワルクさんの3名に差し上げることとなりました。バトボルドさんは法学研究科、カシェムさんは全学同窓会バングラデシュ支部からの推薦(会計担当を務められています)、ワチャワルクさんは全学同窓会タイ支部からの推薦になります。
みなさん久しぶりの名大ということで、様変わりに驚いていらっしゃいました。在学中には、バトボルドさんとワチャワルクさんは法学研究科、カシェムさんは工学研究科に所属されていたとのことです。バトボルドさんとカシェムさんは名古屋を一緒に過ごした奥様もお連れでした。本学の留学生、本当にたくさんの方が本国に帰って活躍されていますが、今回の三人はその代表ですね。
名大への留学が縁となって日本との交流がその後もみなさん続いているようです。例えばワチャワルクさんのお二人のお嬢さんは今現在、日本の大学?大学院で学んでいるとのことでした。残念ながら、名大ではないようですが。
会は、柴田昌治全学同窓会長や松尾機構長、副総長らも出席して賑やかに行われました。
10月18日①
今日は午前中にSTATION Aiの内覧会に行ってきました。
鶴舞公園の一角に新たに建設されたSTATION Ai、いよいよ今月から入居がスタート。グランドオープンの10月31日を控え、内覧会が催され、真新しい建物の中を、上から順に見せていただきました。
名古屋大学病院や名古屋市公会堂がよく見える7階にはホテルが入居しています。会員のためのジムも完備されています。3階までは会員のためのスペースになります。机と椅子ワンセットごとを最小単位として、テーブルごとにまとまったスペースや、区切られた部屋単位でも借りることができます。オンライン会議のブースも完備されていました。ちょっとしたものを作ることのできる工作室や3Dプリンタなども用意されています。
全体の構成は、上から降りていくと真ん中のスロープを挟んで0.5階ずつ下がっていくようになっています。障害のあるアーティストのアート作品を届ける株式会社ヘラルボニーのアート作品がそこかしこに展示されています。3.5階から下は市民が誰でも入れるスペースで、1階にレストラン、2階にカフェがあり、2階には託児施設や子供達が楽しめる「あいち創業館」も急ピッチで準備を進めているところでした。
国内最大規模、世界標準のスタートアップ、そして既存の企業も入居するオープンイノベーションの拠点がついに誕生しました。名古屋大学も先日、相互の施設や設備の有効利用によるスタートアップ支援に向けた基本合意書を締結したところです。愛知発のスタートアップ、オープンイノベーション、爆発的に加速されることを期待しています。
10月15日
本日は、名古屋地方気象台の藤田司台長と塚本徹業務?危機管理官の方の表敬訪問を受けました。
名古屋地方気象台は、本山から大学とは逆側の坂を登ったところにあるそうで、60名ほどの職員が働いているとのこと、ほとんどが技官の方というのも印象的でした。話しの中で温暖化も話題になったのですが、今年の秋雨、本当に遅いですね、と申し上げたところ、大きく頷いてくださいました。桜の開花は早くなり、秋の訪れを告げる秋雨は遅くなる、日本は本当に熱帯化してきています。天気予報や雨雲レーダーの精度についても伺ったのですが、今後ひまわりの後継の衛星が上がれば赤外線の詳細なデータが得られるようになって、精度は劇的に上がるそうです。あとで調べたら2029年度中の運用を目指している、ということですのでまだ少し先ですね。
さて、本学には減災連携研究センターがあり、また伝統的に気象、水循環関係の研究も盛んです。気象庁に就職する学生も一定数いるようですが、是非今後連携を深めて、より多くの学生が志望するようになると良いなと思っています。
本日の帰宅途中、大学を出てすぐに金木犀の馥郁たる香りが漂ってきました。今年の秋では初めて気づきました。もう10月も真ん中です。私が子供の頃は、金木犀の香り、9月だったように覚えています。これも温暖化ですね。
10月11日
本日夜に、第3回目となるNU3MTをオンラインで開催しました。
NU3MT、正式にはNagoya University 3 Minute Thesis Competitionは、今年度に名古屋大学学術奨励賞を受賞した本学を代表する博士後期課程学生たちによる、たった3分間に濃縮された研究紹介のグランプリになります。3分間でいかに一般の方に自分の研究の面白さ、大切さを伝えるかが勝負になります。
今回の学術奨励賞受賞者は10名でした。各々の発表の前には指導教員や研究室の仲間たちからの熱く工夫を凝らした応援メッセージ動画が流れます。
今回も皆さん、素晴らしい発表でした。また研究内容も、重力波観測で宇宙の起源に迫る研究から、どんな空間よりも大きい無限次元を考えて有限次元の地図を作る研究、婦人科がんに対する新しい治療法の開拓、製造元や輸出先が本社と違う国にある場合に問題が起きたらどこの国の法律で裁かれるべきかを検討する研究、など本当に多岐にわたるものでした。
その中で、視聴者150名以上の投票結果によって選ばれたグランプリが、工学研究科博士後期課程3年の沖田ひかりさんによる生命の起源に迫る研究のプレゼンでした。研究の重要性、面白さが存分に伝わり、また自身の得た成果、そのインパクトもしっかりと話してくれました。
もうお一人、こちらは私が選ぶ総長賞ですが、私個人の採点では沖田さんと勝るとも劣らない発表がありました。生命農学研究科博士後期課程3年の前田明里さんによる、植物の概日時計に関する研究です。なぜか植物の時計は温度に鈍感なのですが、その理由を解明するという内容を、熱意とともにわかりやすく伝えてくれました。
過去2回の受賞者は全て男性だったのですが、今回は二人とも女性でした。10月19日土曜日のホームカミングデイ、豊田講堂で約1000人という聴衆の前で授賞式を行い、またお二人にはその場で模擬プレゼンをやっていただく予定です。こちら、オンラインでも放映予定ですので、ぜひご視聴ください。
なお、今回のNU3MT、全貌を
https://hcd.adm.nagoya-u.ac.jp/kikaku/event/202406/103/
でご視聴いただける予定となっています。10名のプレゼンと応援動画、是非ご覧ください。
10月10日
本日は、豊田章一郎全学同窓会前会長?トヨタ自動車名誉会長の胸像除幕式が豊田講堂で行われました。
豊田章一郎名誉会長は、ご存知の通り、豊田佐吉翁のお孫さんに当たり、トヨタ自動車の社長や会長を歴任、経団連の会長もされた日本財界を代表する方でした。昨年、惜しくも亡くなられたのですが、訃報が飛び込んできた2月14日の自由闊達通信にも書かせていただきました。
この度、豊田章一郎名誉会長の名古屋大学への多年のご貢献とご尽力、そして功績を後年までしっかりと残していくために、胸像を豊田講堂の中、勝沼精蔵元総長の胸像の並びに設置することといたしました。豊田講堂との関係で言えば、全学同窓会長として入学式?卒業式には欠かさずご出席いただきましたし、また2006年の大規模改修においては、豊田章一郎名誉会長のご尽力により、トヨタ自動車およびトヨタグループ各社からのご寄附をいただくことで、やり遂げることができました。私自身、初めて豊田章一郎名誉会長にお目にかかったのも、豊田講堂です。小林先生、益川先生のノーベル賞受賞記念レクチャーでお隣に座らさせていただいたことを思い出します。豊田講堂建設のために奔走された勝沼元総長と、大規模改修に力を注いだ豊田章一郎名誉会長が、豊田講堂の中で並ばれることは名古屋大学としても感無量であるとともに、大きな誇りであり喜びです。
豊田章一郎名誉会長には、名古屋大学基金設立にも関わっていただき、大きなご貢献もいただいています。日本のみならず世界を代表する経済人であった豊田章一郎名誉会長は、名古屋大学にとってまさに恩人という存在でした。胸像を豊田講堂に設置することで、後輩の学生たちを暖かく見守っていただき、また教職員、大学執行部を叱咤激励するとともに、名古屋大学の発展を見守ってもらえればと思っています。
今回の胸像除幕式では、名古屋大学が豊田章一郎名誉会長のご期待、深い母校愛に恥じない大学、人々の幸福に貢献する大学であり続けなければならないとあらためて決意させられました。
なお、除幕式にはご子息の豊田章男トヨタ自動車代表取締役会長にご臨席賜り、非常に心うつ祝辞をいただきました。全学同窓会からも柴田会長はじめ副会長の皆様にもご臨席いただきました。感謝申し上げます。
10月9日
雨の日が続いて、急に涼しくなりました。寝冷え注意ですね。
今日は、シンガポール国立大学の産学連携の子会社であるエンタープライズから、3名のお客さんがありました。エンタープライズの中のTTIという組織の副所長であるムン?トー?マさんと、同じ組織のゲオック?ホン?スーンさん、ヨケ?ピン?ヨンさんです。
知財の連携などに興味があるとのこと、まずは学術研究産学官連携本部の鬼頭雅弘教授らに説明をいただきました。その後、私と佐宗副総長(産学官連携担当)、水谷副総長(国際担当)の3名でお会いしました。
ただ実際に話してみると、炭素回収技術に興味があって国際連携を進めているということだったので、佐宗副総長に本学の関連する研究者を後ほど紹介するようにお願いしました。複数の大学や企業を交えての共同研究を行なっているそうなのですが、そこでの知財の扱いはなかなか難しいようでした。ただこれまでMITなどとの共同研究の経験が長年にわたってあるとのこと、いろいろ参考にできればと思っています。私は今月末にシンガポールを訪問する予定となっていますので、その際にはTTIの所長さんにもお会いできそうです。
10月8日
今週はノーベル賞週間、本日は物理学賞の発表でした。
この期間、毎日名大では発表に合わせてイベントを打っています。今回も、物理学ということで、素粒子物理学を専門にしている素粒子宇宙起源研究所(KMI)の井黒就平特任助教に素粒子理論の標準理論をテーマに30分ほどお話しをしていただきました。私はそれにチャチャを入れる役回り、全体のモデレーターはKMIの高橋将太特任助教が務めました。
しかし今回の受賞には、びっくりとともに、考えさせられました。AIの基礎を築いたということでプリンストン大学のジョン?ホップフィールド博士とトロント大学のジェフリー?ヒントン博士とが受賞されたのですが、お二人の業績である機械学習、ニューラルネットワークという分野は、旧来の物理学には入らないものです。情報、応用数学といったところになると思います。ノーベル賞には数学賞がないことはご存知の通りです。ですので、この分野の中でも物理学の考えを取り入れて業績をあげたお二人に賞が与えられたというあたりが今回の授与の理由になるのでしょうか。
最近でも、太陽系外惑星の発見や眞鍋淑郎博士の気候変動シミュレーションなどは、本来の物理学とは少し違うところでの業績だと思っています。「物理学」という概念が、分野間連系などが進んだ現代ではこれまでと大きく変わって再定義する必要が出てきているのかもしれません。これは物理学のみの問題ではありません。これからは、大学においても旧来の学問領域、英語でいうDisciplineを固定されたものとせず、ダイナミックに変動していくことへの対応が迫られているように思います。
10月5日
本日は、本学陸上部が出雲全日本大学選抜駅伝競走、通称出雲駅伝に10月14日に出場するので、坂田平田ホールでの壮行会に出席してきました。
同じホールで二週間前に行った七大戦の閉会式では、最下位という残念な成績でしたが、今回は全国の有名大学に伍しての出場、快挙といえます。18年振りだそうで、昨年の全日本大学駅伝対抗選手権大会(通称伊勢路)に引き続いての出場になります。伊勢路の方は地元なので、昨年はスタート地点の熱田神宮に応援に行きましたが、今回の出雲はちょっと難しそうです。テレビでしっかりと応援させてもらいます。
関東の大学は箱根駅伝があることから、全国から強豪選手を集めていて、他地域と格段の差があります。そことはなかなか勝負できませんが、それ以外の地方は国立大学の出場もあり、ライバルになります。今回の名大、なかなかの強豪なので、国立大学4校の中では一番を取ってくれると思います。また、関西の私立大学の一部も破って東海地域の来年の出場枠を1から2に増やしてくれることが期待されます。頑張れ!皆さんも応援、よろしくお願いします。
10月4日
雨が降って、湿度は高いものの気温が下がり、だいぶしのぎやすくなりました。ようやく秋の到来でしょうか。
今週は入学式の後は、外部の機関も含めて打ち合わせはあったのですが、まだオープンにできないものが多く、ここに書くことができないのが残念です。
そんな中、本日の打ち合わせの一つをご紹介します。学生の保護者に学生の成績をどのように伝達するか、という件になります。私が学生の頃は、大学生にもなって親に成績を見せるなんてことはありませんでした。しかし今は、保護者の知らない間に学生が成績不振に陥っているようなことがあると、大学が責任を問われかねませんし、支援が必要な学生も増えていますので保護者との連携が必要な件も多くなってきています。学生が成績不振に陥った時には速やかに保護者が知ることが望まれます。
これまでは、学生本人の承諾がある場合に限りますが、前年度1年間の単位の取得状況を6月頃に学生の連帯保証人に書留郵便で通知していたとのことです。しかし、これだと当然新学期4月の履修登録には間に合いません。問題があれば、その問題を抱えたまま新学期に突入してしまっていますし、保護者や学生支援の介入が遅れてしまいます。
そこで、電子化を進めて、春学期?秋学期ともに成績が確定した後比較的すぐに、例えば秋学期であれば3月中には、オンライン上で保護者の方が成績を閲覧できるようなシステムを導入することになりました。関わってくださった事務職員の皆さんに感謝です。保護者が状況を随時確認できることで、必要な支援が届くようになると良いなと思っています。
10月1日
今日は、秋季入学式を挙行しました。秋入学の学生が対象ですから、留学生が大多数を占めます。今回は、287名の入学者のうち留学生が231名、47カ国からの入学になります。
先日挙行した卒業式ほどではありませんが、民族衣装に身を包んだ学生もいて、緊張の中にも華やいだ雰囲気がありました。
式では、卒業式と同様、名古屋大学交響楽団のメンバーによるパッヘルベルのカノン、弦楽四重奏版を私たち大学執行部、研究科長?学部長らの入退場時に演奏いただきました。ありがとうございます。
今回は冒頭に総長の辞を述べました。さすがに総長3年目ともなれば、少しは慣れてきたように思います。それに引き続き、壇上役職員の名前を全部読み上げるのに少し緊張しました。読み間違え、アリそうですよね。昨年はしっかり間違えました。今年は大丈夫だったはずです。その後入学生総代の宣誓があったのですが、今回の文学部の留学生、しっかりと自分の思いを伝えていただきました。
一昨年から、秋季入学式では本学の卒業生?修了生の先輩から、祝辞をもらっています。今年は、ITbMの八木亜樹子特任准教授にお願いしました。ご自身の経験に基づいた素晴らしいメッセージ、新入生にきっちりと伝わったと思います。ありがとうございました。
入学式では総長はモーニングを着用するのですが、まだ気温は高いものの、豊田講堂内は思ったほど暑くなくて助かりました。数週間前だったら地獄だったかもしれません。
入学式、つつがなく終了しましたが、ご準備いただいた事務の皆さん、本当にありがとうございました。